甘く濃厚なチュベローズ。クチナシにも似たお花の香りをめいいっぱい楽しみたい方におすすめしたいのが、ディプティックの「ドソン」。トップからラストまでチュベローズの甘くエキゾチックな香りに包まれ、まるで満開のチュベローズ畑で深呼吸をしているような気持ちにさせてくれます。
ディプティックといえば、数々の「リゾート地」からインスピレーションを受け、旅先で感じた空気や湿度などを「香り」で表現した香水が特徴的です。
香水ひとつひとつにストーリーが込められており、香りを深く吸い込んで目を瞑れば、たちまち色々な情景が浮かんでくるはず。

今回ご紹介する「ドソン」(DO SON)は、ベトナム北部の町”ドーソン”から、その名がつけられました。
ボトルのラベルをよく見てみると、ベトナム特有の高床式住居や、家の下を流れる大きな湾、そして周りには緑豊かな木々が覆い茂っています。

ドソンの舞台となったドーソンのハロン湾。調香師 イヴ・クエロンが幼少期に過ごした思い出の地です。
高床式の別荘から眺めるハロン湾の景色、そこにはいつも濃厚なチュベローズの香りが漂っていました。
ベトナム・ハロン湾の爽やかな湿度と、チュベローズの甘く濃厚な香り、そのひとつひとつを丁寧に組み合わせた「ドソン」が誕生します。
チュベローズの甘さと湿度が大人の落ち着きを感じさせる
ドソンは、トップからラストまで「チュベローズ」をメインとした香水です。
ここまでチュベローズの香りにこだわった香水も、なかなか珍しいかもしれません。
一見シンプルノートに思わせる香調ですが、深く香りを吸い込むと、ピリッとしたピンクペッパーや、ほんのりパウダリックなアイリスも感じることができます。
今回ご紹介するドソンはトワレなので、香り立ちはやや控えめ。
ワンプッシュだと自分だけがわかる密やかな香りに、2〜3プッシュするとチュベローズ畑に飛び込んだような濃厚な香りに包まれます。
濃厚な甘さは夏に不向きかと思われますが、ドソンは日本のジメジメとした夏向き。
ベトナムの湿度とチュベローズの香りが絶妙にマッチしているので、梅雨につけてもくどくならず、むしろ爽やかな印象さえ与えることができます。

ドソンをシュッとひと吹きしてみると、チュベローズの甘く濃厚な香りがふわっと鼻へ届きます。
香水独特のアルコール臭は全くなく、最初からチュベローズのお花の香りがしっかりと香るので、かなり上品。
セクシーな大人の落ち着きを感じさせます。

数秒経つと、遠くでピンクペッパーのピリッとした刺激がアクセントを加え、チュベローズのもったりとした濃厚さをキュッと引き締めます。
ピンクペッパーは表に出てくることはなく、あくまでアクセントなのでスパイシーさはほとんどありません。スパイスの香りが苦手な方でもあまり気にならないはず。

ピンクペッパーの刺激を感じたら、少しずつ、パウダリーなアイリスとホワイトムスクが顔を出します。
でも決して前面に出てくることはなく、メインはあくまでチュベローズ一択。
アイリスとホワイトムスクは、チュベローズの甘さと柔らかさの補助的な存在に感じます。ほんのりパウダリックではありますが、香水にありがちな”化粧品の香り”のパウダリーフローラルにはなりません。
最初から最後までしっかりとチュベローズの香りを楽しめる香水です。
でも、しっかり香りを観察していくと、ピンクペッパーやアイリスなどが入れ替わりで出てくるのがわかるはず。香りの移り変わりは目まぐるしく、遠くで色々な香りを楽しめるのも魅力のひとつです。
ディプティックの香りはジェンダーレス。ドソンも性別・年齢を感じさせない香り

ディプティックの香水には、MEN・WOMEN、どちらかに当てはめることはしていません。
全ての香水がジェンダーレス。もちろん「ドソン」も性別を感じさせない香りですが、印象は少し異なります。
女性がつければハンサムに、男性がつければ洗練された色気を醸し出せる香りです。
共通して「落ち着き」のある雰囲気なので、歳を重ねても使い続けられる香水でもあります。
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